糖尿病の合併症は、(1)糖尿病網膜症、(2)糖尿病腎 症、(3)糖尿病神経障害、(4)動脈硬化症、(5)糖尿病足病変、(6)手の病変、(7)歯周病　が知られていますが、そのほかにも合併症と考えられる 疾患が、世界中で次々と発表されています。

本来、代謝障害というのは、合併症として何が起こってもおかしくないといえます。なぜなら体はすべて繋がっていますので、エネルギー源として最 も大切な糖をうまく処理できないということは、あらゆる機能を連鎖的に巻き込むことになるからです。

新たな合併症

• 認知症
  

糖尿病で充分な血糖コントロールができない場合、認知症を発症しやすいことが米ジョンズホプキンス大学の研究で明らかにされました。
この研究は、アメリカの４地域の住民を長期間追跡したもので、中年期に糖尿病を発症すると、２０年後に認知症を発症する危険性が糖尿病でない人に比べて１９％も高くなるといいいます。 HbA1cが５.７％未満の人に比べ、７％以上の人でより進行しやすく、糖尿病の罹病期間が長いほど認知能力が低下しやすいということです。

• うつ
  

糖尿病はうつになりやすいと言われています。 それを裏付けるデータが、２０１４年１０月、"Proceedings of the National Academy of Sciences"に University College London などの研究結果を基に報告されました。
５０～７５才の２型糖尿病患者１４０人と、糖尿病ではない男女２８０人とを比較。その結果、糖尿病患者ではストレス・テストの後に血圧・心拍数・コレステロール値が平常に戻る能力が衰えていただけでなく、唾液中のストレスホルモンと体内炎症をひき起こすタンパクの血中濃度 が増えていることが分かりました。つまり、糖尿病はそうでない人に比べてストレスに弱いということになります。
国立精神・神経医療研究センターの研究では、糖尿病を患う人のうち、うつ病を併発している人は11.4%、うつ病を併発している疑いがある人は 31.0%というデータが示され(合計42.4%)、うつ病を併発すると糖尿病の合併症が起こりやすくなり、その合併症も悪化する可能性がある 、と警告しています。
そうした時に、抗うつ剤に頼ることはあまりお勧めできません。気分が沈む人は、早めに運動習慣を身につけるなど、賢明な対策を心掛けてほ しいとおもいます。

• めまい
  

糖尿病の合併症として最も発症率が高く、比較的早い時期に現れるのが 神経障害です。
神経のうち自律神経障害に陥ると、全身の機能に影響を及ぼし、めまいや立ちくらみも起こすようになります。急に立ち上がったとき（起立性低血圧）や入浴時 に血管が広がったときなどに血圧がうまくついていけず、こうした症状が起こってしまいます。
また、血糖値が高いと血流が悪くなるので、内耳のバランス感覚を司る器官（三半規管）やその周辺に充分な栄養が届かないことでめまいを起こす場合もあります。
そのほか、実は糖尿病の薬の副作用でめまいが起こることもあるのです。
天然のものと違って、血糖値を下げるという一方的な働きしかもたない化学薬剤は、環境や体調の変化によって上下する血糖値にうまく対応することができません。運動で糖代謝が改善した時などは、過剰な血糖降下作用でいち早く低血糖に陥ってし まい、低血糖症状であるめまいや意識の低下が起こってしまいます。

• 骨折
  

糖尿病では、網膜症や白内障の視力障害を合併しやすく、加えて、神経障害などで立ちくらみを起こし転倒することが多くなります。
また、糖尿病性腎症が進行すると、活性ビタミ ンＤの減少などを起こし、骨が弱くなり、骨折を起こしやすくなってしまいます。
骨折は、寝たきりになる大きな原因です。したがって、糖尿病になった場合、日光浴を兼 ねて散歩を欠かさず、早めの自然的糖尿病対策が必要になります。

• がん
  

糖尿病患者が、が んの罹患率が高いことは、今ではよく知られています。しかし、実は、糖尿病予備軍になったときから、がんのリスクが１５％も上昇するということが明らかにされました。
研究は中国順徳第一人民医院のユリ ヒュアン氏らによるもので、世界約９０万人を対象に行われた１６件の研究結果を分析して、欧州糖尿病学会(EASD)の医学誌「ダイアベトロジア」に発表されました。
今や日本人は、１０１２年で１,１００万人が糖尿病予備軍だといわれています。 予備軍の段階で、生活習慣の改善に努めることが賢明でしょう。
薬物治療をしていなければテトウストレなどのハーブの効き目も早く、そうすれば、動脈硬化などの循環器疾患だけでなく、がんのリスクも早期に排除できることになります。