糖尿病になりやすい現代人
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現代社会に生きる私たちは、肥満以外にもストレスなど数多くの糖尿病のリスク要因にさらされています。
日常の中の糖尿病要因
●清涼飲料水、スポーツドリンクほか
スポーツドリンクをはじめとする清涼飲料水には多くの糖分が含まれており、こうした飲み物は急激に血糖値を上げてしまいます。
清涼飲料水や菓子類を日常的に摂取していれば、糖尿病のリスクが格段に高まることはいうまでもありません。
●食事の摂り方と内容
忙しい現代人はよく嚙んで食べることをせず、パンやスパゲティーなど消化の良すぎる食事をし、すい臓に負担の掛かる肉料理を好みます。
また、食事の時間も不規則なためにドカ食いをしたり、ビタミンやミネラル、繊維質の豊富な野菜類が不足した食事になりがちです。
こうした食習慣は、いずれもインスリン分泌量が増えすぎてしまい、やがてインスリン分泌能力が低下して血糖値が上昇してしまいます。
●ストレス
「ストレスから来ない病気はない」といわれるほど、過度のストレスは大きく身体を蝕みます。
現代はストレス社会ともいわれ、文化のめまぐるしい発展と共に、追い立てられるように生活し、ストレスは増すばかりです。
中でも血糖値は、食事以外にストレスと密接な相関関係があることが分かっており、特に2型糖尿病では、ストレスが症状を促進しているケースが70%近くあると考えられています。
ストレスが血糖値に影響を与えるメカニズムについては、次の3点が指摘されています。
- ストレスが自律神経を刺激して、インスリンの分泌が抑制される。
- ストレスが細胞のインスリン感受性を低下させる。
- ストレスによって副腎皮質刺激ホルモンなどが分泌され、血糖値を上昇させる方向に作用する。
これらの作用によって、ストレスは血糖値を上げて糖尿病を悪化させるのです。
●日本人の体質
国立健康・栄養研究所部長で東京大学の門脇孝教授は、「欧米人は少し太っただけでは糖尿病になりにくいが、日本人は小太りになるだけで糖尿病になりやすい」 と述べておられます。
その理由は、欧米人は肉を中心とする食事の永い歴史の中で、すい臓がインスリンをたくさん出せる体質を獲得したのですが、日本人のすい臓から出るインスリ ンの量は、欧米人の半分しかないためだといいます。
そのことは、食べたものをエネルギーとして消費せず、脂肪として蓄積することになり、飢 餓の時代ではとても有利なことでした。
しかし、高脂肪食・運動不足の現代では肥満になりやすく、門脇教授によると「肥満の人は、パンパンに張った脂肪細胞 から、インスリンの働きを邪魔する物質がたくさん出ている」ということです。
人間の生活は飢餓の歴史が永く、生き延びるために食事で得た物を効率よく蓄えるシステムが発達して来ました。
現代のような飽食の時代は、人間がかつて経験したことのない食事のあり方、生活環境です。しかも添加物や化学物質など、ホルモンを乱すものもあふれていま す。
したがって、肉食文化ですい臓を鍛えてきた欧米人ですら、身体が飽食の時代に対応しきれず、糖尿病は世界的に増加の一途をたどっています。