糖尿病はなぜ怖い?
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糖尿病は死に至らない病気として軽く考える人が多いようですが、日本における3大死因である、ガン・心疾患・脳血管疾患を引き起こす、実は大変こわい病気です。
糖尿病が心疾患や脳血管疾患と深く関連していることは、医学界ではよく知られています。
日本の死因のトップであるガンも、厚生労働省研究班をはじめとする疫学調査から、糖尿病患者ではガンの罹患率が高くなることが次々と明らかにされています。
大した症状が出ていないからといって放置し、高血糖の状態が何年も続くと、ますますインスリンの分泌量は低下し、インスリンの働きも悪くなって、さらには血管壁や神経細胞のタンパク質がブドウ糖と結合して組織の老化が進みます。
血管壁は動脈硬化へと向かうために、細い血管が密集している脳・心臓・腎臓・眼などは特に障害が起こりやすく、それでなくてもサラサラと流れにくい糖濃度の高い血液は、至るところで閉塞を起こしやすくなるのです。
糖尿病の3大合併症としてよく知られているのは、次の通りです。
- 糖尿病性網膜症
- 糖尿病性腎症
- 糖尿病性神経障害
糖尿病性網膜症
糖尿病性網膜症は、成人の視力障害の原因の中で第1位を占めています。
糖尿病になって5~6年経つと、網膜の毛細血管の一部にコブ状の膨らみができたり、白く小さな斑点が出るようになります。症状がさらに進行すると毛細血管 に血栓ができて網膜への血液供給が滞ってしまい、それを補うための新生血管がつくられていきます。
しかし、この新しい血管は血管壁がもろく出血しやすいという欠点があり、網膜へ行きわたる血液が少なくなって視力が低下し、最悪の場合は失明という事態に 陥ってしまいます。
糖尿病性腎症
糖尿病性腎症は、腎不全となって人工透析を必要とする病気の第1位になっています。
腎臓は、血液が運んできたものを濾過し、不要な老廃物を尿として排泄する重要な働きをしています。その濾過機能は、おびただしい数の毛細血管の集合体からできていて、とてもデリケートです。
ですから、化学物質などの不要物が増えるだけでも障害を起こしやすいのですが、高血糖の状態がながく続くと腎臓の濾過装置は壊れてしまい、タンパク質や血液が尿の中に漏れ出してしまうのです。
腎臓は、自然治癒力にも非常に重要な臓器ですが、一度壊してしまったら他の臓器に比べて修復がかなり困難です。
人工透析は、昔に比べて格段に技術が進歩しましたが、それでも人体にとってのダメージも大きく、様々な不具合を生じてしまい寿命を縮めます。
糖尿病性神経障害
糖尿病性神経障害は、合併症の中でも最も頻度が高く、比較的初期のころから自覚症状があります。
そのまま放置しておくと壊疽をひき起こす原因となり、足の切断などを余儀なくされます。
高血糖が持続していると、末梢神経や自律神経が障害を受けて神経の働きが低下します。 知覚や運動の情報を伝える末梢神経が障害されると、両足の感覚が鈍くなり、けがや火傷などの痛みに気づきにくくなって少しの傷でも悪化し、細胞や組織が腐ってしまう壊疽を起こしてしまいます。
臓器の働きをコントロールする自律神経が障害されると、便秘や下痢、立ちくらみ、発汗異常、排尿障害、インポテンツなどの症状が起こります。 こうした合併症は、細胞内に蓄積されたソルビトールという物質が細胞膜を傷つけるために、毛細血管や神経細胞が傷んで様々な症状を引き起こすと考えられて います。
ソルビトールは、高血糖が続くことで細胞の中に溜まっていくのです。 糖尿病は、決して命に関わらない病気などではなく、日本人の3大死因に直結していることを自覚しておきましょう。