糖尿病とは
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糖尿病とは血液の中に糖が溢れる病気で、エネルギー源として重要なブドウ糖が細胞の中に運ばれなくなり、全身のエネルギーが足りなくなってしまう状態です。糖尿病は一度発症したら治らないといわれますが、食事療法、運動療法などで正常な血糖値レベルにコントロールすることは可能です。
糖尿病の定義は、日本糖尿病学会が決めており、その基準からいくと、いまや日本の総人口の5~6人に1人が糖尿病または予備軍といわれます。
しかし、糖尿病は代謝障害ですから、学会の診断基準とは関係なく、体の中では、ずっと前から糖を代謝できない状況(代謝異常)が起こっていたのです。その段階から生活改善ができれば、発症を避けることは充分に可能です。
現在の糖尿病診断基準(2010年7月1日施行)
● 以下の3つの内いずれかが、別の日の検査と併せて2回以上確認できたとき「糖尿病」と診断する。
- 空腹時の血糖値が126mg/dL以上
- 75gのブドウ糖を飲用後2時間の血糖値が200mg/dL以上
- 随時血糖値が200mg/dL以上
※糖尿病学会による正常血糖値 ⇒ 空腹時血糖:110mg/dL未満、糖負荷後2時間値:140mg/dL未満
● 1回の検査で上記の数値のいずれかを満たし、さらに以下のどれかひとつがあれば1回だけでも「糖尿病」と診断する。(2012年の追加基準)
- HbA1c(旧基準)6.1%以上、A1C(新基準)6.5%以上
- 糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)
- 確実な糖尿病性網膜症の存在
※ 糖尿病学会による正常HbA1c値 空腹時HbA1c:6.1%未満 糖負荷後2時間値:7.8未満 上記の条件を完全に満たさない場合、「糖尿病予備軍」とか「糖尿病型」などと呼んでいます。 (日本糖尿病学会)
「糖の代謝異常」とは? 糖尿病の種類について
糖尿病には大きく分けて、「1型糖尿病」と「2型糖尿病」があります。
「1型糖尿病」というのは、すい臓のインスリンを製造するβ細胞が破壊されて、インスリンが不足するために起こるものです。
「2型糖尿病」とは生活習慣病のひとつで、ほとんどの糖尿病患者がこれにあたります。
主な原因は、
- 食物の過剰摂取(細胞がエネルギーに変換しきれない)
- 運動不足(ホルモン分泌や細胞のインスリン感受性など、正常な生理機能が衰える)
- ストレス(糖の代謝を乱す)
などです。
糖代謝とは、私たちが食事から摂った糖質が貯蔵されたりエネルギーに利用されるプロセスで、その鍵を握るのが肝臓、および膵臓から分泌されるインスリンです。
インスリンは体内でつくられるホルモンで、すい臓で「ランゲルハンス島のβ細胞」から分泌されます。また、インスリンは、血液中に余ったブドウ糖の貯蔵を促進したり、ブドウ糖を細胞に取り込ませるために働きます。
私たちは食事によってエネルギーを獲得し、生命を維持しています。
食事とともに摂取した糖質は、小腸で分解されてブドウ糖となり吸収されますが、すぐに利用されないものは肝臓や筋肉に運ばれてグリコーゲンとして貯蓄されます。貯蔵されたグリコーゲンは、必要に応じて再びブドウ糖に分解されてエネルギーとして利用されます。
こうした糖に関する一連のシステム(糖代謝)が、正常に作動しなくなった状態が「糖代謝異常」です。糖代謝がうまくいかなくなると、血液中に必要以上にブドウ糖があふれて、血糖値が高くなるのです。
代謝のプロセスは、1箇所でつまずくと連鎖的に色々なところが影響されて次々と不具合が起こりますので、糖代謝に異常を来すような生活は早めに修正しなければなりません。
例えば、糖質を摂りすぎると、血液中のブドウ糖の量を増やしすぎない(高血糖にならない)ためにインスリンがたくさん出てきて、細胞への取り込みや貯蔵を促進します。
糖の貯蔵量が増えすぎると、それを脂に変えて蓄えますので、脂肪肝や肥満になります。
日常的に糖の摂取量が多いと、いつもインスリンが出動しなければなりませんので、インスリンを分泌するすい臓は疲れ果て、インスリンを充分送り出せなくなっていきます。
また、いつもインスリンが出動している血液中には、インスリンが過剰に存在しますので、細胞はインスリンに対して鈍感(インスリン抵抗性)になってしまい、正常なときのインスリン量では反応しなくなり、細胞はブドウ糖を取り込みにくくなってしまいます。
したがって、すい臓はさらにたくさんのインスリンを放出しなければならない状況に追い込まれ、ますます疲れ果てて機能が低下し、相対的インスリン不足やインスリンが血液中にあっても細胞がインスリンに反応しない身体になっていくという悪循環に陥ってしまうのです。