糖尿病性神経障害
- 糖尿病の合併症
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糖尿病性神経障害とは、網膜症、腎症とならぶ糖尿病3大合併症のひとつです。
3大合併症の中で、神経障害だけは手足のしびれなどの自覚症状が初期の頃から現れます。
高血糖状態がながく続くと毛細血管がダメージを受け、血流が悪くなります。
組織や細胞は毛細血管を通して酸素や栄養を供給されており、神経組織も例外ではありません。血行不良になると充分な酸素や栄養が神経に行き渡らず、さまざまな神経障害を引き起こしてしまうのです。
古来より東洋医学では、糖が高いと「細胞が緩む」といい抵抗力が著しく下がると考えられてきましたが、近年になって、高血糖が細胞の活動メカニズムを狂わせ、腎臓、網膜、神経の細胞にソルビトールという物質を蓄積させることで合併症に繋がると考えられるようになりました。
神経には、中枢神経(脳・脊髄)と末梢神経(全身に張り巡らされている末端の神経)があり、糖尿病合併症で障害を受けやすいのは末梢神経です。
末梢神経には、痛みなどを感じる「知覚神経」、筋肉を動かす「運動神経」、 体温や内臓の働きを調整する「自律神経」があり、糖尿病性神経障害では、まず知覚神経から障害が現れます。
糖尿病性神経障害進行の主な流れ
糖尿病性神経障害の最も典型的な初期症状は、両足の裏のしびれです。
やがて、しびれはだんだん上の方へと広がり始め、両手指も先端からしびれ始めます。 ひどくなると殆ど痛みを感じなくなり、足にけがをしても気づかない場合もあります。
小さな傷でも、しびれていて痛みを感じないと手当てが遅れ、血行障害や免疫力の低下によって治癒力が弱っているところへ細菌感染が広がると、糖尿病性壊疽として足を切断しなければならないという事態を招いてしまいます。
神経障害が進むと、知覚神経以外の運動神経や自律神経も障害されます。
運動神経が障害を受けると、筋肉に力が入りにくくなったり、こむら返りが起こりやすくなったり、顔面神経麻痺なども現れるようになります。
自律神経が障害されると、血圧や脈拍の調節が狂い起立性低血圧(立ちくらみ)をおこしたり、腸管の運動異常による便秘や下痢の繰り返し、 膀胱の機能異常による排尿困難のほか、糖尿病によるインポテンツも症状として現れます。
糖尿病性神経障害の予防
・血糖値を高すぎない状態にコントロールする
・血行促進と血糖値コントロールのために適度な運動を心掛ける
・入浴の際などに足に傷がないかどうかを 目で見て確かめる習慣をつける
・靴擦れを起こさないよう足に合った靴を選ぶ
・火傷に気をつける
・タバコは血流を悪化させるため禁煙を心掛ける
・ぬるめのお湯で入浴し手足のマッサージを習慣づける